株式会社建設コンサルタント

「 建築物は人間が生きるためにある 」

これが建築設計の原点である、と私たちは考えています。

今、私たちが暮らしている場所は、長い年月を経て形づくられてきました。

これまで私たち人間は、さまざまな目的でいろいろな用途の建築物を造っていますが、人が生きる上で食べることと身を守ることは、いつの時代も欠かすことができません。

「 建築物は人間が生きるためにある 」このあたりまえのことが、情報量の多い今だからこそ私たち建築設計事務所の「 道しるべ 」になると考えています。

建築設計 ⋅ 設計監理 Architecture Design

私たちは、建築主 ( 依頼者 ) の委託により、建築設計や設計監理業務を受託しています。

建築物の用途や規模によりますが、ひと昔前は基本計画と基本設計、実施設計、実施設計の意図伝達から工事監理 ( 設計監理 ) まで、一連の業務として建築主 ( 依頼者 ) から受託することもありましたが、現在ではそれぞれの業務を別々に受けることも増えました。

私たち建築設計事務所の業務を簡単にご紹介します。

建築設計業務

1. 基本計画

すでにある建築物の場合、主に建設当時に描かれた図面などを確認しながら改修計画や設計を進めることになりますが、新築の計画は一枚の真っ白な紙から始まるため、設計図を描く準備が必要です。

手書き風

設計図を描くには、建築主 ( 依頼者 ) から建築の目的や意図、建築物の使い方や必要な諸室、建築物の利用者、構造や規模などの要望や要求を整理し、全体的な構想を把握するほか、建築設計の諸条件となる敷地情報の確認が必要になります。

敷地情報には、次のようなものがあります。

◯ すべての敷地
「敷地の形状」「道路や隣地との高低差」「接道条件」「電気 ⋅ ガス ⋅ 上下水道」 の整備状況
「地盤状況」※1 「方位」「気候や積雪状況」 など
◯ 都市計画区域内
「用途地域」( 住居系 ⋅ 商業系 ⋅ 工業系など )
「防火地域 ⋅ 準防火地域」の別
「建蔽率」「容積率」など
はてなのひよこ

この敷地情報から「 建築基準法 」「 都市計画法 」などの法律を参照し、建築できるものとできないもの、使用しなければならない材料や設備、建築物の高さの基準などを確認します。

 建築基準法 
日本国民の生命、健康、財産の保護、公共福祉の増進を目的に制定された法律。
建築物の敷地、構造、設備、用途に関する最低の基準が定められている。
 都市計画法 
都市の良好な環境を守り、均衡のとれた国土の発展を目的に制定された法律。

なお、これらの法律は、国の行政機関である国土交通省が定めています。

このほか、都道府県や市町村などの地方公共団体が地方自治法に基づき定めている「 条例 」、総務省が定める「 消防法 」など、建築に関係する法律や規範は多岐に渡り、それらも必要に応じて確認していかなければなりません。

information
※1「 地盤状況 」
「 地盤状況 」は、建築物の安全性検討をするための必要な情報で、建築主から設計者へ提供する情報のひとつです。
この「 地盤状況 」は、地質調査を行うことにより得ることのできる情報です。
私たちは、地質調査を自社で行っています。くわしくは 地質調査 のページをご覧ください。

基本計画の段階では、完成後の運営や維持管理、経営の採算性、周囲の景観や環境に及ぼす影響、社会に対する公益性への配慮など、さまざまな角度からの検討が必要になる場合もあります。

また改修の計画では、建築主 ( 依頼者 ) もしくは建築物の所有者が建設当時の図面などの設計図書を保管して所有しているかということも、その後の設計や施工に大きく影響する場合があります。

2. 基本設計

基本設計では、建築主 ( 依頼者 ) から提示される基本計画を基に、建築物の配置計画、平面と空間の構成など、どのような方法で空間化するかを検討し「 基本設計図書 」を作成します。

この時、各部の寸法や面積、建築物として備えるべき機能、性能、主な使用材料、設備機器の種別および品質などや建築物内外の意匠を検討し、建築工事に要するおおよその費用を算出します。

3. 実施設計

実施設計では、一般に基本設計図書に基づき、建築を構成する部分の詳細と使用材料の決定を行い、設計意図を工事施工者に具体的に伝えるための「 実施設計図書 」を作成します。

この「 実施設計図書 」から工事施工者は工事費の見積を算出し、工事監理者 ( 設計監理者 ) はこの「 実施設計図書 」に基づいて設計監理を行います。

information
基本計画 ⋅ 基本設計 ⋅ 実施設計の各段階で、縮尺模型や検討用の簡易模型などを用い、設計案の問題について必要に応じて事前確認をする場合があります。
私たちは、目的や用途に合わせて、設計図面より建築模型を制作しています。

4. 建築確認申請

建築主が建築しようとしている建築物が法律に適合しているか、建築工事の着手前に「 建築主事 」または「 指定確認検査機関 」の審査を受けることを建築確認申請といいます。

建築確認申請は、ある一定の規模を超える建築物や、都市計画区域や都道府県が指定する区域に建築物を建築しようとする場合などに必要となる申請で、申請者は建築主です。

新築の場合、建築主から実施設計の委託を受けた建築士が、建築設計の経緯や内容を把握し、法律を確認して設計を進めていることから、実施設計に続いて建築確認申請の手続きも建築主から委託を受けることが一般的です。

この建築確認申請によって、建築主が建てようとしている建築物が法律に適合しているか、二重の確認が行なわれます。

「 建築主事 」または「 指定確認検査機関 」から、建築しようとしている建築物が法律に適合している、と判断されると確認済証の交付を受け、建築工事の着手ができるようになりますが、法律に適合していない、と判断されるた場合は申請が受理されないため、工事の着手をすることができません。

 建築主事 
建築確認を行うために都道府県や市町村などの地方公共団体に配置される職員。
 指定確認検査機関 
建築確認を行う機関として国土交通大臣や都道府県知事から指定される民間企業。

なお、建築確認申請は、新築の場合だけでなく、増築や大規模の修繕や大規模の模様替、用途変更などでも、申請もしくは届出が必要になる場合があります。

この場合、建築基準法だけではなく、消防法やバリアフリー、省エネルギーなどに関係する法律もありますので、ある一定の規模を超える建築物の建築主 ( 依頼者 ) もしくは建築物の所有者は注意が必要です。

建築確認申請書には設計者の氏名の他に工事監理者 ( 設計監理者 ) の氏名や工事施工者を記載する欄があり、順次決定する必要があります。

5. 工事施工段階の設計意図伝達

実施設計の設計者が工事施工段階で、建築主 ( 依頼者 ) もしくは工事施工者、工事監理者 ( 設計監理者 ) に設計の意図を伝えることを設計意図伝達といい、この業務は工事を実施設計図書の通りに進めるための大切な業務のひとつです。

建築主 ( 依頼者 ) への意図伝達は、例えば工事材料、設備機器等、それらの色、柄、形状等の選定に関して、工事施工段階の検討や助言に設計意図の観点から合理性がある場合に行います。

工事施工者や工事監理者 ( 設計監理者 ) への意図伝達は、設計意図が正確に反映されていることの確認が必要な部材等に係る施工図の確認などがありますが、これらは建築主 ( 依頼者 ) を通じて工事施工者に伝達を行います。

実施設計者と工事監理者 ( 設計監理者 ) が同一人物の場合、すでに自分が設計したものを工事監理 ( 設計監理 ) するので、この設計意図伝達の業務が見えていないことがあります。

設計監理業務

工事監理 ( 設計監理 ) には「工事監理に関する標準業務」「その他の標準業務」があります。

【 工事監理 ( 設計監理 ) と工事管理の違い 】
「 工事監理 」 は、建築士事務所登録を受けた事務所に所属する建築士が建築士法の定めにより実施設計図書の通りに工事が行われているかを確認することに対して、 「 工事管理 」 は工事施工会社の責任者 ( 現場代理人とも呼ばれる ) が施工順序の計画、工程表の作成、職人の手配、現場の安全管理、周辺住民等への配慮、材料費や人件費の管理などにより工事現場を動かすことです。
以下、ここでは工事監理「こうじかんり」を工事管理と区別するため、「 設計監理 」 と記載します。

1. 設計監理に関する標準業務

設計監理に関する標準業務は「 建築士法に定めのある業務 」「 設計監理を行うために必要な業務 」に分類されます。

建築士法に定めのある業務を含むため、一般にこれらをまとめて建築士事務所登録を受けている設計事務所などが行います。また、建築士事務所登録を受けている事務所には、必ず建築士が所属しています。

1) 建築士法に定めのある業務

① 工事施工者の行う工事が実施設計図書とおりに行われているかの確認

② 工事が実施設計図書とおりに行われていない時は工事施工者に設計図書のとおりの工事を求め、従わない時は建築主 ( 依頼者 ) に報告

③ 実施設計図書と工事の照合と確認がすべて終了後、設計監理報告書をまとめ建築主 ( 依頼者 ) へ提出

2) 設計監理を行うために必要な業務 

④ 設計監理方針の説明

⑤ 設計図書の内容の把握

⑥ 実施設計図書に照らした施工図等の検討および報告

【 建築主の義務 】
「 建築主は、建築基準法で建築士である工事監理者 ( 設計監理者 ) を定めなければならない 」と建築基準法に定められています。
それは、設計監理者 ( 工事監理者 ) は、建築工事が実施設計図書のとおりに行われているかを確認することで「 建築主 ( 依頼者 ) の建築物が建築基準法に適合した工事で行われている 」ということも確認する業務も担っているからです。

2. その他の標準業務

その他の標準業務については建築士法の定めはなく、建築主( 依頼者 ) との契約により決定する業務です。

1) その他の標準業務の種類

① 請負代金内訳書、工程表、実施設計図書に定めのある施工計画の検討および報告

② 工事と工事請負契約との照合や確認および報告

③ 工事請負契約の目的物の引渡しや関係機関の検査の立会い等、工事費支払いの審査

などがあります。

【 設計監理と監理の違い 】
一般に、「 設計監理に関する標準業務 」を「 設計監理 」といい、この「 設計監理に関する標準業務 」に「 その他の標準業務 」が加わった業務を「 監理 」といいます。
「 監理 」の業務内容は「 設計監理 」より幅広いものになるため、委託契約締結前にどのような項目をどのような方法で確認するか業務範囲の決めて、建築主 ( 依頼者 ) と建築設計事務所の双方が納得できる内容で契約することが重要になります。

私たちの課題

ひとつの建築物ができるまでいくつもの段階があり、その段階ごとにたくさんの人が関わります。

ひとつの建築物をまとめていく時、それぞれの段階でうまく結びつかなかったり、矛盾が生じたりする場合もあり、総合的にまとめる力も求められるようになっています。

私たち人間が一人として同じ人がいないように、建築物もひとつとしてまったく同じものはなく、それぞれの人に合う建築物とその使い方を一歩一歩探していくしかありません。

建築物は建設後から長い歴史を刻みます。

次に続く世代の人たちが長く大切に使い続けることのできる建築物がますます必要とされ、建設後の維持保全や運用も視野に入れた計画が必要になります。

私たちはこれからの時代に必要とされる建築物について、設計業務を通じ建築主 ( 依頼者 ) と一緒に考えていきたいと思っています。

2021年8月(令和3年)

維持保全