用語の定義
私たちは日本語で会話する時や文章を読んでいる時に、ひとつのわからない単語が出てきても、前後の内容からその単語の意味を予測して補い、内容を理解しようとします。
予測が合っている時は、話したり書いたりした人の意図はそのまま伝わるかもしれませんが、もし、わからない単語が複数の意味を持っている場合、違う意味に受け取ってしまうことがあり、それは外国語を和訳した時にも同じことが起こります。
例えば、アメリカでホームページというと、Webブラウザを起動した時に最初に表示されるよう設定された Webページや、Webサイトの表紙にあたる部分のことを指しますが、日本では Webページの集まりである Webサイトのことをホームページと呼んでいます。
仮にここで、 Webサイトという言葉の意味や用法を「 このページにある Webサイトとはホームページのことをいう 」というように定めた場合、「 日本では正しく 」「 アメリカでは誤り 」の定義になります。
ただし、言葉の意味があいまいなままより、定義があることで行き違いはどこにあるか、確認しやすくなるため、解釈の相違は減らすことができます。
言葉の意味を理解するというのは、簡単なようで複雑なことが多く、育ってきた環境や価値観が違えば、考え方も異なり、あたり前だと思っていたことが、あたり前ではない、ということはよくあります。
互いに共通認識を持って対話をしたいと考える時、この定義が重要な役割をしますが、誰かが決める言葉の定義は、場面が変れば誤りかもしれない、ということも理解しておく必要があるでしょう。
江戸幕府の終わり と パリ万国博覧会 1867年 ( 慶応3年 )
各国の工業力を披露するために行われる国際博覧会に、日本が初めて参加したのはフランス開催のパリ万国博覧会でした。
このパリ万国博覧会には、江戸幕府の統率を条件に、薩摩藩、佐賀藩、江戸の商人が独自に出品、このうち特にイギリスと親密な関係を構築していた薩摩藩は、このパリ万博で江戸幕府の権威失墜を狙いました。
一方、フランスはイギリスに対抗するために江戸幕府に接近、関係を深め、幕府最後の15代将軍 徳川慶喜 ( よしのぶ ) は、弟の昭武を将軍の名代としてパリ万博に派遣し、各国の皇族や王族が参列する万博で徳川が日本の代表だということを示そうとしました。
昭武と幕府使節団がフランスに到着すると、フランス組織委員会作成の「 総出品目録 」には「日本帝国 ( Empire du Japon ) 」と「 琉球公国 ( Principauté de Liou-Kiou ) 」がそれぞれ独立した参加国として記載され、さらに出品物の掲載は「 琉球公国 」のものだけで「 日本帝国 」のものはありませんでした。
薩摩藩は当時、琉球を配下に治めていたため「 琉球公国 」という独立国家体裁をつくり、パリ万博で幕府から独立した出品をしようとしていました。これに対して幕府は薩摩側に抗議、フランス組織委員会のもと協議が行われ、その結果「琉球公国」という言葉は取り除かれることになりました。
そして「 総出品目録 」の第二版では、「 琉球公国 」という言葉は除かれましたが、日本の項目に「 大君政府 」「 薩摩太守政府 」「 肥前太守政府 」として、それぞれ「政府 ( gouvernement ) 」と併記されました。
協議の際「琉球公国」の文字削除に重きを置き「 gouvernement 」というフランス語の正確な意味を確認しないまま、薩摩に使用することを許可してしまったため、その後、フランス雑誌の記事に「日本はこれまで我々が考えてきたような絶対的な帝政国家ではなく、封建領主の連邦国家であった」と報じられてしまいます。
このことで、世界に日本の主権は幕府にあるということを示し、フランスから資金を借りて軍事力を増強して幕府の復興をしようとした慶喜の計画は失敗に終わり、昭武と幕府使節団がフランス滞在中に慶喜は政権を朝廷に返上 ( 大政奉還 ) 、江戸幕府はその歴史に幕を閉じました。
Webサイトの「サイト」
「観光」の英単語が「 sightseeing ( サイトシーイング ) 」ということを思い出し、Webサイトのサイトはこのサイトと同じ言葉か、知りたいと思い調べてみました。
sightseeing の sight は、視力、見ること、見解、風景などの意味で、Website の siteは、敷地、場所、位置、遺跡などだったため、日本語のカタカタが同じ表記でも、英語では意味が違っていました。
また「場所」を意味する英単語で馴染みがあったのは place だったためそれも調べると、単語としては site も place 同じ「場所」意味を持つので、前後の文章から判断する必要がありそうです。
感覚的には、place は家や部屋、広場、遊園地や体育館やなど特定の建物などに使われ、siteは、町や建物の位置、世界遺産の跡地などに使われるようです。
2022年2月 (令和4年)